片付けが済んで、お母さんに部屋で遊んでいても良いって命令が出たから(今日は機嫌が良かったっぽい)、俺は部屋に戻ってチラシの裏に絵を描いていた。
鉛筆で絵を描いてはお母さんの言葉を思い出す。
もぐもぐ、お母さんの言葉を心の中で噛み締めて、俺なりにちゃんと理解しようと努力した。
「俺に弟か妹…。じゃあ、この部屋にもうひとり人が増えるってことだよなぁ」
あ、でも布団がないから俺と一緒に寝るのかなぁ。
俺は別に嫌じゃないぞ。
もう一人寂しく布団で寝なくてもいいし、まだ見ぬ下の子と一緒に寝られるし。いつも誰かと一緒だし。
大きなマルを二つ描いて、長い棒を引いて、顔を付けて、俺は人間を二人描いた。
ひとりは俺、ひとりはまだ見ぬ弟か妹。
俺はこいつと一緒に遊んで、飯食って、イジメられる時も傍に居てやって、
あれ…?
それって…、じゃあもう、俺は一人じゃなくなるってこと?
小さめの人間に目を落として、俺は鉛筆で大きめの人間と手を結ばせるために線を引いた。
「治樹兄ちゃんって呼ばれて」人間の顔は笑った顔にして、「俺もこいつの名前呼んで」俺も笑顔を作って、「一緒に遊んでやるんだ」パタパタっとチラシの裏に涙を落とす。



