えっと、つまり…俺の下に弟か妹ができるってことだよな。
しかも恋人さんの子供とかじゃなくて、正真正銘血の繋がったキョウダイが俺にできる。
キョウダイ…かぁ。
嬉しいやら、喜びたいやら、どうしていいやら。
唐突の報告に子供の俺はどう感情を表現していいか分からなかった。
お母さんはメンドクサそうに、テーブルに頬杖ついて眉根を寄せる。
暫くは男遊びができない。
なんて不機嫌面を作っていた。オメデタイことなんじゃないのかなぁ、家族が増えるんだし。
「はぁーあ…、とにかく道雄に電話しねぇとな。おい、面倒はてめぇが看ろよ」
「うん、分かった、面倒看る。一杯面倒看る」
俺は素直にお母さんの言葉に頷く。
「ねえ、お母さん。弟なの? 妹なの?」
「今の時点で分かるわけねぇだろ。どっちにしろてめぇに下ができる。いいな?」
「分かったらさっさと食器洗え」頭を思いっきり叩かれたから、俺は急いで流し台に戻った。
心なしか、洗う手付きは軽かった。