「え? 子供って…?」



食器を洗っていた俺は手を止めて、リビングで寛いでいるお母さんに振り返る。

どういう意味か分からなくて、目を丸くする俺に対し、



「道雄が中出しするから。あーくそ、おろすのは面倒だしな。産むしかねぇってか。
ま、ガキのもうひとりくらいあいつがどーにしてくれるだろ」



子供の俺には意味不明な言葉で返してくる。

まったくもって理解できない俺は、おずおずと爪を磨いているお母さんに歩み寄ってもう一度説明してくれるよう頼んだ。


ついでに“中出し”の意味も分からないんだけど、と答えれば、


「そりゃガキが分かるわけねぇよな」


お母さんは珍しく笑声を漏らす。
 
機嫌が良いのか悪いのか分からないけど…、取り敢えず俺の問いには答えてくれるようだ。


曰く、お母さんは久しぶりに帰ってきたお父さんとせ、…せ…セクス? ってヤツをして、中出し…? して、アーンなことコーンなことで(なんか説明を適当に端折られた気がする)。



で、子供ができたんだと。

お腹に子供がいるんだってさ…、お母さんはお父さんからよーいくひ? を根こそぎ貰うために、どうやら産むみたいだ。

子供がいれば、お母さんにお金が入るってのは分かった。納得。