「治樹兄さま、とても甘えん坊ですね。今日はいつにも増して甘え坊さんですよ?」
「那智にだけ見せるんだよ。なあ…、愛して? もっと、もっと、もっと」
「はい、喜んで―…、だからおれのことも愛して下さいね」
俺は那智に向かって歪んだ笑みを浮かべた。
ほら、こうやって弟は俺を求めてくれるんだ。
誰よりも弟は俺を求めて、愛してくれている。
思い描いていた未来図の形は違えど、俺は那智と今こうやってふたりぼっちで生きている。
裏社会で身を汚しながら、二人で手を結んで、生きている。
ふたりぼっち世界は俺にとって幸せだ。
傍から見たら不幸せかも知れないけど…、人の幸せの形って各々違うだろ?
俺は今、しあわせだ。
満たされる(でもすぐに飢える)愛情を貰ってるから…、何より弟とふたりだけで生きてるから。
ひどく、しあわせ、しあわせなんだ。
END



