まあヒントとしては…、
「兄さまって行為の時は凄く意地悪なんですよね…、本気でおれを泣かせてきますもん」
とか、那智には常々よく文句言われる。察するまでもないな。
可愛い奴ほど苛めたくなるもんだ。仕方が無い。
だけど那智とやってるのは、恋人とかが抱く恋慕じゃなくて…、やっぱ家族愛なんだ。兄弟愛なんだ。
どうしたって那智を弟とでしか見られないんだ。
どうしても弟…なんだ。
ヤッておいてもまだ、往生際悪く言うけど、家族なんだなぁ俺等。
ふたりぼっちで生きようって決めちまったから…、きっと家族愛が性交に形を変えたんだと思う。
俺等は渇望してる。
愛情に。
特に俺は、喉が常に渇いた状態。
直ぐに愛情に飢えて、那智を泣かせて、限界まで求めさせて、限界超えてもまだ求めさせようとして、愛情を補給しようとするんだ。
あ、言ってる傍から、またきた。
愛して欲しい…、求めて欲しい…、必要として欲しい…、飢えがまたきた。
「俺も貪欲だな。手前でも呆れる」
ソファーに腰掛け、ぼんやり思案に耽っていた俺だけど、飢えと同時に腰を上げて流し台に立つ那智のもとに足を運ぶ。
食器を洗っていた那智は、背後に立つ俺に気付かない。



