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「―――…№1ルーキーの狂犬さん、初めまして。
私、これから表向きアダルト会社。
裏では法に触れている裏会社の“チェリーボーイ”に入社します、田湯原 美咲(たゆはら みさき)です。
えっとお名前は下川治樹さんですね? どうぞヨロシク!」
美咲はちょっとした手違いによりヤクザに借金を負う羽目になった、元OL職員だった。
金稼ぎのために表向きはアダルト会社だが、裏では殺しなど法に触れる仕事をしている“チェリーボーイ”と呼ばれた会社に入社し、こうして挨拶まわりをしている。
十人前後しかいない会社だ。
顔を憶えるには容易な人数なため、さっさと全員に挨拶している。
しかし事務所に残っていた会社の№1(あだ名は狂犬)は美咲の挨拶に、片眉をつり上げ、「馬鹿っぽそう」素っ気無く返した。
そのため美咲の中で、こいつはいけ好かない部類として認定。
「何よアンタ!」
人が折角挨拶してるっていうのに、素を曝け出して文句垂れるが、治樹はフンと鼻を鳴らすだけ。
窓枠に腰掛けて、ぶっきら棒に珈琲を啜っている。
こいつ…、私より年下そうなのに偉そうな。