それでも俺等は普通の生活を送っていくと思った。


那智も俺もトラウマを抱えていて。


那智はそれによって過呼吸を起こしたり、俺は平常心崩して那智を傷つけたり、それでも人並みの生活と幸せを送ると思っていた。

酷い独占欲を抱えたまま、人並みの生活に紛れるんだって思ってたんだ。



あの頃までは―…。




近未来、いや一年後か。


俺は一人の女に告白されて、それに素っ気無く断り、んでもって正義感かぶれの半分だけ姉弟のオンナに出会い。


そして俺達兄弟は殺人を犯す。
那智は手前の手で母親を殺し、俺は手前の手で友人を殺し、揃って殺人犯に成り下がった。


社会的地位も、普通も捨てて、正常も捨てて、


ただただ、ふたりぼっちの世界を守った。


俺等は何もかもを捨てて、ふたりぼっちの世界で生きようと決めちまったんだ。





そして俺達は今―…。




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