「うぁああ!」
背中から皮膚の薄い首筋に場所に火種を押し付けられて、俺は思わず悲鳴を上げた。
「負けー。根性ないな」
「ご、ごめんなさい…でも、も、やめて」
「ンー何か言ったか? 治樹」
歪んだ笑みを浮かべる恋人さんは、俺の髪を掴んで顔を上げるよう強要。
おずおずと顔を上げた俺に、恋人さんは小さく笑声を漏らす。
「ガキってこういう発散道具としては使えるよな。煩いだけかと思ったけど、案外癖になりそうかも。
なあ治樹、言ってみろよ。“俺はただの道具です”って」
そしたら、助けもしてくれず、ただ傍観者に回って様子を見ていたお母さんが大笑い。
「どういう趣味だよ」
能天気に煙草を吸って、恋人さんを茶化す。
「言わせてみたいじゃん?」
軽い口振りでお母さんに言った後、俺に早く言うよう促す。
俺は道具じゃない、人間なんだけど。
思えど…、逆らったら…。
恐い、嗚呼…恐い!
「俺は…ただの道具です」
身を小さくして、俺は小声で呟く。
そしたら大きな声で言うよう怒られた。
俺はヤケクソで大声で台詞を繰り返す。
「俺はただの道具です!」
途端に恋人さんとお母さんに大笑いされた。
俺、ちっとも笑えないんだけど。
寧ろ泣きたい。
泣きたかったよ、お母さん。
う、う、疎ましく思われるから我慢したけど。



