ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】



んで、翌日。
 

起床した俺は朝食の用意をしてやって、眠っている那智を起こしに掛かる。
正常に戻っていた那智はのろのろと起床。あんま昨日のことは憶えてないらしく、「いつご帰宅したんですか?」と首を傾げているほどだ。

だけど学校に行きたくないって言葉は昨晩と変わってないらしく、朝食を取ってくれるものの、学校に行く素振りはまるで見せなかった。
別に学校に行けなんざ強要するつもりは無いけど、那智の覇気のない顔には不安を覚える。

「那智」

俺は弟にそっと声を掛けた。
ビクリと肩を震わせる那智は食べていたトーストを皿に落としてしまう。

そして身を小さくし、

「学校行きたくないです…」

昨日と同じ登校拒否を口にした。
一大事な発言なんだけど、俺の心の中で喜びに満ち溢れる。

けど表に出さず、俺は向かい側から那智の隣に移動、頭をくしゃって撫でて体を寄せた。


「昨日、何があったか教えてくれるか? ダイジョーブ、兄さまは那智の味方だ。どんなことがあっても」


すると那智はボロボロと昨日のことを思い出したのか、涙を流して嗚咽を漏らし始める。

「気持ち悪いんです」

おれの体は気持ち悪い、那智は苦言した。
目を丸くする俺に対し、那智は堰切ったように説明してくれる。

昨日、健康診断があるらしいんだが、その時、那智はどうしても制服から体操服に着替える事が出来なかったらしい。



理由は一つ。

俺等の体に“虐待の痕”があるからだ。



体を見る度、周囲は異端な眼を飛ばしてくる。
同情や哀れみの眼を向けられるのが嫌で、俺も体を見られることは好きじゃなかった。

那智も同じ気持ちを抱いていたんだけど、体育の教師に急かされて、無理やりその場で着替えさせられたらしい。

那智は体にできた痣や痕を着替えていた男子達に見られたっぽく、虐待の痕を執拗に聞かれたらしい…。

更に騒動を聞きつけた女子達にまで聞かれたらしく、すべてが嫌になった那智は昨日、感極まって体操服を燃やし、自分の体に対しても嫌気が差して水浴びしていたんだと。