は?
どうした那智…、何を言って…。
力ない笑声から、大きな笑声を上げ始める那智は「見られた! 見られたんだ!」馬鹿みたいに笑ってヒィヒィ腹を抱える。
壊れかけ…、が相応しいその姿に怖じることはないけど、なんか…戸惑った。
初めて見る那智の姿だから。
俺は那智の頬を包んで名前を呼ぶ。
氷みたいに冷たい頬、白い頬を擦るように触って那智を何度も呼ぶ。
「那智、兄さまが分かるか? 那智」
「にーさまぁ…?」
「どーした那智。兄さま、分かるか?」
「にーさま…。にぃ…っう…うウァアアアアアアア! ヤだったのに…やだったのにぃィイイイ!」
今度は狂ったように叫び泣き始めた。
まったく話が見えない、俺は膝を折って座り込んじまう那智に順序良く話してくれるよう頼む。
だけど那智は両耳を塞いでギャンギャン喚く。
「イヤダァアアアア! 兄さまァアアアア! 見られたっ、見られたんですぁああああ!」
「な、那智! 落ち着けっ、落ち着け!」
「兄さまっ、一緒じゃなきゃやだっ、兄さまァアアアア! 兄さまァアアア!
みんな見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで見ないで! 兄さまっ、兄さまぁああ!」
「那智ッ、兄さまは此処にいるぞ!」