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―…そんなある日のこと。
いつものようにバイトを終わらせた俺は、帰りを待ちわびているであろう那智のために早足で帰路を歩いていた。
俺の私情はともかく、生活も軌道に乗り始めている。
もっとこの生活を充実させねぇとな。
あ、そうだコンビニで那智の好きな菓子でも買っていこうか。
なんてことを思いながらコンビニで寄り道。
お菓子って手土産を片手に俺は見慣れつつあるアパートへと帰宅した。
「那智、ただいま。今日の夕飯は何…っ、焦げくさっ」
部屋に入ってみると、足が思わず止めて口元を覆う。
なんか焦げくせぇぞ、この部屋。なんか物でも焼いたのかよ。
もしかして那智、夕飯作るのに失敗したのか。
にしても焦げ臭いな。
俺は臭いの元を辿る。
流し台に放置されていた残骸が臭いの元だった。
「体操服?」
俺は残骸を抓んで眉根を寄せる。半分ほど燃えているそれは、那智の体操服だった。
なんでこんなところに体操服が…、しかも燃えている状態で。
てか…、那智は?
俺は居間をグルッと見渡して、姿が見えないことに顔を顰める。