飯を食い終わった後、俺等は一緒に風呂に入って、あがったら髪乾かし合いっこして、贅沢にもアイスなんて食ったりして。

有意義に時間を過ごした後、今後のことは後日話し合おうってことになり、今日はそのままおやすみなさい。


真新しい敷布団を二組敷いて、各々布団に潜り込んだ。


今まで俺と那智は一組の布団で寝てたもんだから(だって母親が用意してくれなかったし)、布団内はゆったりとスペースがある。

明かりを落として、俺も那智もおやすみなさいモードに入り、広々とした布団で眠りに就く。


これからは部屋に二人だけしかいないから安心して眠れる、…筈なんだけど、俺はちっとも眠れなかった。


そりゃ自由になれて嬉しいし興奮してるってのもあるんだけど。
一番の原因は布団、なんか布団が広すぎて寝れないんだ。

普通の生活を送れている奴は、一組の布団にひとりが寝る形を取ってるだろうから、これが普通なんだろうけど。

ちっとも眠れねぇや。


布団がゆったりとし過ぎて落ち着かない。


寝返りを打っては心中で溜息をつく。

布団の中が物寂しい…、温もりがないっつーか、俺だけの温もりに不安っつーか…、ひとりだった頃を思い出すっつーか。


普通の奴って、こんな広いスペースでひとりで寝られるもんなのか?



「にーさま…」



と、細い声が聞こえた。