そんな那智に俺は微苦笑して、弟の散らかしたスニーカーを綺麗に並べる。
新しい家は前の家に比べて随分狭かった。
前の家は一軒家だったんだけど、これからアパート暮らしで、2DKでベランダなし、みすぼらしい部屋しか選べなかった。
俺的にはちょっとばっかし不服だった。
親父の稼ぎだったらもっと良いアパート選べたんじゃ…、なんて思ったくれぇだ。結構ぼろっちいし。
まあ、家具を揃えてくれただけ感謝するべきところなのかもしれねぇけど。
「此処が居間で、こっちが寝室で、こっちがお風呂にトイレ!」
パタパタ―。
足音を鳴らしながら右往左往する那智の喜びっぷりに、ついつい俺は狭くてもいっかって気分になった。
こんなにも那智が喜んでるんだ。
ぼろくても狭くてもやっていけるだろ。
「ほら那智、あんまはしゃいでると疲れるぞ。
まだやることあるんだからな。
さっさと荷物を片付けないと…、那智?」
不意に聞こえなくなった足音に首を傾げて、俺は首を捻る。
向こうの寝室で窓を開けていた那智は、ぎこちなく笑ってきた。
けど目尻から水の真珠がぽろぽろ。
「ありがとうっ…」
自由にしてくれてありがとう、俺に礼を言って、涙の量を増やす。



