ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】



「名前、呼んで」

「治樹兄さま」

「もっと」

「治樹兄さま」


「もっと…、もっとっ…、兄さまを必要としてくれ。好きだって言ってくれ。愛してくれ」


じゃないとひとりぼっちになっちまう。

ひとりぼっち…、ひとり、誰にも名前を呼ばれない冷たい日々。冷酷な時間。酷な時代。

俺はあの中でひとり、ひとりで、孤独に生きてきた。


「い、やだ…いやだ…」


思い出すだけで、情けないほど体がガクガクと震えてくる。
 
じんわりと滲む視界を振り切って、「那智!」俺はあらんばかりに弟を抱き締めた。
独りは嫌だ嫌だ嫌だっ、ガキのように声を上げて温もりを掻き抱く。

そしたら腕の中にいる弟が微笑を零して、「ダイジョーブ」ポンポンと背中を叩いてくる。


「兄さまはひとりぼっちじゃありません。
此処にいるおれを忘れないで。

おれ達はふたりぼっち、ふたりぼっちはおれ達にとって不可分。
おれと兄さまは切っても切れない関係なんですよ。

仲を切り裂かれたらきっと、ウサギさんのように寂しくて死んじゃうんです。

―…治樹兄さま。大好きです」