「随分甚振ってくれたな。すんげぇ辛かったぜ、この18年間。
あんたのいいように玩具にされ、ストレスの捌け口にされ、召使に使われ。
俺等兄弟は死ぬ思いで生きてきた。
血反吐噛み締めて生きてきた!」
どんだけ辛かったと思う?
再現してやってもいい、その辛さ。
あんたがやった暴行を、俺が全部再現してやってもいいんだぜ?
平手打ちに蹴り、熱湯、根性焼き、外に放置プレイ。
いっそのこと、その美貌、崩してやってもいいな。
あー楽しそう。
おっと、驚かせてるみたいで悪いな。これが俺の素だ。
俺は従順な犬に成り下がっている振りして、この機会を虎視眈々と狙っていた。
「そう…愛しの那智が生まれてから、ひとりじゃねえ温もりを手に入れてから、俺はあんたと親父に復讐してやることを誓った。
俺を塵のように扱いやがった、実の両親をな。
てめぇは俺等を舐めてたな。
従順なガキでもな、成長ってのをするんだよ。生きる知恵がつくんだよ。守る奴のために行動できるんだよ」
ニマニマと恐怖に慄く母親を見つめた後、俺は一旦後退して様子を見守っている那智に目を向けた。
さすがにこれ以上、俺のおっそろしい姿を見せるわけにはいかない。
那智には純粋に俺を好きでいてもらわないと。
リビングの窓辺に立つ俺は、カーテンを勢いよく開けて窓の鍵を解除。
ガラッ―。
窓を引き開けると、「玄関は開いてる」外に向かって一声。
程なくして玄関の開閉音が聞こえ、「やっと出番」「遅ぇって」「待ちくたびれた」文句と一緒に不良達が数人でぞろぞろ。
那智はすこぶる驚いて狼狽、それ以上に母親は狼狽。
何故なら、出揃う面子は母親を悩ませていたあの不良達だったんだからな。



