閑話休題。
話を戻して、俺は高3に進級するまでに計画を水面下で進めていた。
母親の暴力に耐えながら、屈辱や白眼視に耐えながら、虎視眈々と反撃するチャンスを狙っていた。
すべては俺のため。
んでもって何よりも、
「兄さま。実は今日、家庭科でマスコットっていうのを作ったんですけど…、その、全然上手じゃないんですけど、兄さまにあげます。お守りです。
あ、ちなみにそれはクマさんですよ。ネコさんに見えますけど、クマさんなんです!」
帰宅してきた俺に、那智はお帰りの代わりにクマ(だと思われる。どう見てもネコだろ)のマスコットを差し出して頬を紅潮。
下手だけど受け取って欲しい、いつも自分のために頑張ってくれてるから。
それはお守りなのだと那智はボソボソ。
勿論、俺はそれを喜んで受け取った。
いらねぇわけねえじゃねえか、那智からの贈り物なんだから。
「サンキュ。ネコ、大切にするから。あ、クマか」
「もー! 兄さま!」
「ははっ、嘘だって。ちゃんと作れてるじゃねえか。大事にするよ、てめぇのお守り」
クシャッと那智の頭を撫でる。
拗ねていた那智だけど、すぐに笑顔を零して俺の腰に抱きついてきた。
俺は目尻を下げて、那智のしなやかな体躯を腕に閉じ込める。
「那智、大好きだ」
すべては俺と那智のため。
こいつの笑顔を守るためにも、俺は両親から自由をもぎ取ってみせる。
「おれも兄さま、大好きです」
誰よりも俺を愛してくれる家族のために。
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