「誰でもいいからぁ…、一緒にいてくれないかな」



お母さんにこんなこと言えば、ぶたれるのはめーはく。

「甘えたこと言うんじゃねえ」のヒトコトで蹴られるに違いない。

だけど苦しいんだ。

誰でもいいから、傍にいてくれよ。俺に構ってくれよ。


ヒトリは寂しい、恐い、悲しい。


「っ…、」


俺は地面に足をつけて、ブランコの揺れを止めると声を殺して泣いた。

お母さんにぶたれることが恐い、それ以上にヒトリで過ごす一日いちにちが恐怖。


俺はどーして、生まれてきたんだろう。

お母さんにも、お父さんにも、嫌われてる…違った、う、う、う…疎ましく思われてる。


じゃあ、俺のこと、誰が好きだって言ってくれるんだろう。


誰か、だれかっ…、俺のこと…。



「好きって言ってくれないかな…」



泣いても誰も慰めてくれないのは知ってる。

泣いても誰も助けてくれないのは知ってる。

泣いても誰も振り向いてくれないのは知ってる。


だって俺、お母さんから逃げたことがあったけど、誰も助けてくれなかった。

逃げたら今まで以上に叩かれたんだ。

きんじょの奴等、助けてくれないし。


俺の味方はいない、いないんだ。


渡る世間は鬼ばかり…なんだぁ。
テレビで言ってたっ。


それでも我慢が出来ないから、俺は声を殺して泣きじゃくる。



誰でもいいから、俺を心配してくれないかな。


それだけでも俺、嬉しいのに。



「ぎゅっとしてくれねぇかな…」



それだけで、俺、明日に希望が持てるのに。