「悪いな孝之。辛気臭くしちまって。気にしないでくれ」
俺は赤茶の不良に謝罪。
「馬鹿だな、俺等の仲だろ…。なんかあったら、言えよ」
孝之は俺の肩に手を置いて、小さく綻んでくる。
流し目で見た俺は相槌を打った。
「ああ。気持ちは受け取っておくさ。それよりてめぇはもう少し、喧嘩の腕を上げろ。弱いんだよ」
「るっせぇな。折角の雰囲気に水を差すな」
「ヤな奴だな」背中を叩いてくる孝之を鼻で笑って、俺は煙草をふかす。
那智は大丈夫だろうか。
もう時間は六時を回ったけど…、母親には学校で放課後補習があったって言い訳が通せる。でも那智のことは気掛かりだ。
そろそろ帰らないと、な…。
と、丁度、仲間内の一人が戻って来て血相を変えながら報告。
曰く、近くで敵対していた不良グループがこっちに喧嘩を吹っ掛けてきたそうだ。しかも仲間が数人やられている。手を貸して欲しい。
矢継ぎ早報告に俺は心中溜息、グッドでバッドなタイミングだな。
こりゃ直ぐには帰れそうにない。
俺は煙草を下に落として、スニーカーで揉み消すと誰よりも先に動いた。
「何処だ? 現場は」
「二丁目の鉄道橋下の路地だ。治樹、来てくれるのか?」
「見過ごすわけにはいかねぇだろ。しゃらくせぇ。孝之、てめぇ、バイク出せるか?」
「おいおい。優等生くんが誰よりも喧嘩に赴いてっぞ。俺等も負けるな」
率先して動く俺に、仲間内も刺激されて行動を開始する。
ったく、こいつ等、単純なんだか馬鹿なんだか。
内心呆れながら、俺は不良達と共に喧嘩に出掛けた。
帰りが遅れるけど…、那智には後でうんっと謝ろう。



