× × ×
俺は今、某公立高校の特進クラスに所属している。
電車で二駅のところにある近所の公立高校に、どうにか進学させてもらった。
私立だったら母親は俺を働かせるつもりだったみたいだ。
本当は中学卒業と同時に就職させたかったみてぇ(しかも水商売の方にいかせたかったみてぇ)。
けど、高学歴の世の中を十二分に理解していたのと、三者面で担任と余計な話し合いを設けたくなかった母親は俺を進学させた。
大学に進学させるつもりは無いってキッパリ言われたけど、俺は大学に進学するつもりで勉学に励んでいた。
俺が大学に進学する頃には自由を手にしているだろうから。
そう簡単に大学進学の夢を捨てることはなかった。
就職しても良いけど、追々那智と暮らすことを見越したら高学歴の方が何かと都合が良い。
クラスでの俺は能面。
殆どクラスメートと接すること無く、教室の隅で文庫を読んでいるか、勤勉に励んでいる。
クラスメートが時たま声を掛けてきても、俺は大半を無視、もしくは素っ気無い態度で貫き通している。
おかげさまで俺に構う輩なんて一切いない。
感じの悪い同級生として成り立っている。
それが俺の“表”の顔。
優等生面して日々を過ごしている。
もう一つ、俺は顔を持っている。
それは……。