ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】



どす黒い嫉妬心が募る中、手を引かれながらも俺を気遣った那智がこっちを見てニコッと笑って見せた。
大丈夫と心配しないでの兵法を含んだ笑み。


そして口パクで言う。


が ま ん 


分かってる、分かってるよ那智。だけどっ!



(触るな、汚い手で…俺の弟に触ってくれるなっ…、くそっ…くそっ、くそう!)



大切な弟を他人に取られても、我慢しないといけない。
守らないといけない弟を、誰よりも大切な弟を、本当はもう…もう、母親に逆らえる年頃なのに。

逃げるように俺は台所に駆け込んだ。
何かしないと俺の気が落ち着かない。落ち着かないんだ。

深呼吸を繰り返して、俺はそっと那智を見やる。
那智はソファーに腰掛けて、押元とかいう男に愛想笑いを向けていた。


「えっと、その…、あの…、お、おれ…、晩酌って初めてで…何をすればいいのか」


たどたどしく笑顔を作る那智、顔があからさま引き攣ってる。
押元はそれに気付いているのか、気付いていないのか、那智の腰に手を這わせて厭らしい笑みを浮かべる。

汚らしい手で腰から脇、鎖骨を撫で上げて、頬に手を添えた。


「私の指示に従いなさい。それだけで良い」

「しじ?」


「君は私にレンタルされているんだ。大人しく指示に従えば、なにも怖いことはしないさ。怖いことは」


刹那、那智が抱き締められた。
ひゅっ…、喉を鳴らす那智は身を硬直させてギュッと目を瞑った。

「背中に手を回しなさい」

指示に、那智はおずおずと手を回す。
「抱き心地が良い」ニンマリとあくどい顔を作るキャツは、那智の顔を覗き込んで言った。


「本当は抱いてみたいんだがね。君くらいの年頃の体はとても柔らかい」

「だ…く?」

「意味を知らないところがまた初々しい。―――…穢したくなる」