んでもって、那智と一緒に一階へ。
リビングに入ると母親と、どっかで男を引っ掛けてきたのか見覚えのない顔の狼一匹。
母親にしちゃ珍しい、初老を捕まえてきたようだ。
見るからにエリートっぽそうな初老。
「こんばんは」
綻んでくる相手に俺等は会釈して、挨拶。
今までとはちょっと違ったタイプの恋人にちょっと安堵を覚えた。
那智も同じなんだろう、ぎこちなくではあるけれど安堵した表情を作っている。
と、思ったのも束の間のこと、初老は母親の恋人じゃなかった。
「さすがは芙美子の息子達だな。どっちも顔が整ってる。兄は綺麗系、弟は可愛い系ってところか。女にもてるのは兄だろうな」
「お前も物好きだな、押元(おしもと)。ガキの何がいいんだ」
「いいだろ? 世間じゃこういう性癖、滅多に見せられないんだから。で、貸してくれるんだろ?」
「ああ。奢ってもらったしな。けど、限界は軽く触る程度だからな」
「晩酌してもらうだけだ」
何の話、だ?
血の気が見る見る引いていく俺と那智に対し、
「どっちが好みなんだ?」
「やっぱ可愛い系」
「言うと思ったぜ。那智、相手しろ」
大人達は勝手に会話を進めていく。
名指しされた那智を、俺は反射的に背中に隠そうとする。
でもその前に、「お前はつまみでも作ってやれ」母親に命令されてしまった。自分は風呂に入ってくるからと付け足して。
「で、ですが。母さんっ、待って下さい」
完全に狼狽している俺を余所に、「行こうか」押元って呼ばれた男は那智の腕を掴んでさっさとリビングの奥へ。
目の前が真っ赤になった。
触るなっ、那智に、触るな…、他人が軽々しく弟に触るなっ。



