許されない、キスをしよう。





「…蒼。」


もう一度蒼の名前をよんでみたけれど、思ったよりも小さな声しか出なかった。



蒼の手の熱が、頬を伝って私に届く。
一度あってしまった目が、そらせなくなって。
視線が絡まったまま、私たちはお互いにしばらく身動きがとれなくなった。





カタン…
一番上まできたとき、観覧車が小さく機械音をたてた。
まるで、夢が覚めた音。




「…俺、なにやってんだ。…いきなりごめん。」


はっとしたように私の頬から手を離して、蒼は困ったように笑った。




「…ううん。」

それ以上なにも言えなくて。
胸がいっぱいで。
言葉に、できない。





地上に降りるまで、私たちはただ黙って、濃紺色に飲み込まれていく街の景色を眺めていた──…