「律萪ちゃん…」
私の名前を呼んだあと、蒼がはっと息をのむ。
「…?」
私が首をかしげるとほぼ同時に、蒼の手が私の頬をかすめる。
「…蒼、」
次第にはやくなっていく、私の鼓動。
こんなとき、どんな顔をしたらいいの…?
蒼を戸惑いながら見つめると、蒼はとても…
苦しそうな表情をした。
眉間にシワをよせながら唇を少し噛んで…
そして、微笑む。
私はそんな蒼の顔が、初めて綺麗だと思った。
男の人に綺麗だというのはあっているのかどうか分からない。
でも…
今まで嫌いだとしか思わなかった蒼に、もっと近づきたいと思った。
もっともっと蒼を知りたい、そう思ってしまった──…

