「…こんなにゆっくり、景色を見たのは久しぶりかも。最近は仕事を頑張らなきゃ、そればっかり考えてて、全然余裕なかった。」 蒼の前なのに、なぜか素直な気持ちが口をついて出てきた。 「だから言ったじゃん。律萪ちゃんは頑張りすぎだって。」 そう言う蒼の口調は、いつもの意地悪な口調じゃなくて… 優しく感じた。 蒼の顔を見た瞬間、トクンと私の心臓が音を立てる。 これは…なに? こんな感情、私は知らない。 あったかくて、くすぐったくて… でも、どこか痛みとやるせなさを孕んだこの感情。