あまりにもタイミングよく春の風が吹いて、桜の花びらがはらはらと散るから、演出かと辺りを見渡す。
だけど、風をおこす装置はどこにもなさそうだ。
「ふっ。なにキョロキョロしてんのさ。」
数メートル先には、日本にはいるはずのない人が立っている。
「やっぱり…蒼、なの?」
またさらに背が伸びて、大人っぽくなって、だけど、17歳だった頃の面影がどこかに残るその人物を見つめて、私は呟くように言った。
「…ただいま、律萪ちゃん。」
蒼はふふっと笑って私の方へゆっくりと近づいてくる。
「蒼…!!」
私は蒼の胸に飛び込んだ。

