「…律萪、大人になったわね。」
「…そうですか?自分ではよく分かんないや。」
ふと思い出したように言う皆川さんに、笑いながら返す。
車に揺られながら、私はふと蒼のことを思い返す。
蒼が日本を離れたあの日から、私たちは個人的な連絡は一切とっていない。
「いつ大物になって帰ってくるか分かんない方が楽しみでしょ?」
少し意地悪な顔で笑いながら、蒼はそんなことを言っていた。
だから、テレビで時々取り上げられているほかの蒼は知らない。
5年もたって、私も蒼も大人になって…
だから、恋人の一人や二人いてもおかしくないのかもしれない。
頭では分かっているのに、私は淡い期待を捨てきれないままで…

