――「旭」
いつも横で微笑みながら俺の名前を呼んでいた「あいつ」。
名前は、有芽(ユメ)。
大学で同じ学部だったことで知り合った俺たちは、すぐに惹かれあった。
側にいることが普通だった。
互いが互いの一部となるぐらい、いつも一緒にいた。
有芽の声はとても透明で澄んでいて、俺はその声がとても好きだった。
その声で名前を呼ばれるたび、自分の名前がとても特別なものに思えた。
「旭、愛してる」
好きなものは好きと言う彼女の素直さが愛しかった。
俺にはないものに惹かれた。
「大好き」
いつも俺はその言葉を一身に受けてきた。
口にはしなかったけれど、俺も有芽のことを愛していた。
大学を卒業したら結婚しようと、2人で笑いながら話し合っていた。
本当に、幸せだった。


