中学のときにその才能が世に知られる事となり、どこの学校も匠の獲得に躍起になった。この学園を選んだのは匠本人で、その理由は学園長もよく解ってはいない。

 匠はある程度、この学園では自由にさせてもらっている。彼の行動力で学園が賑やかになる事もしばしばだ。

 もちろん、彼の傍若無人ぶりに怒りをたぎらせる者もいない訳ではないが、結局は上手く丸め込まれてしまう。

 一年からの付き合いである城島 健が唯一、彼と普通に接する事が出来る貴重な人材である。

 運動バカだが、そこがいいのかもしれない。考える性格では、匠に振り回されるだけだ。

 否、振り回されているのに気がついていない幸せ者かもしれない。とはいえ、匠の思惑に楽しく乗っかっている時点で不幸などではない。