でも誰だって、きっとそうだ。
身近な他人が、必死に隠そうと、守ろうとしてるものがあるのなら、それを垣間見たくなる。知りたいと、思う。

……そんな、好奇心。
本当に最初はただ、それだけだったのに。


「こんなふうに想うなんて、考えてもおらんかった。」


まさかの、想定外な出来事。
我ながら、無計画過ぎたのは否めん。
簡単に、近づきすぎた。だからこそこんな、不測の事態に陥ったのだ。


「――?……もしかして渓都、惚れたのかい?彼女に。」

「……かも、しれんのう。」


ゆっくりと問い掛けられた明人の言葉に、答えたのはあまりにも情けない声だった。

さすが付き合いが長いだけはある。
叶わんな、明人には。鋭過ぎる。

好きという気持ちを抱くつもりは、これっぽっちもなかった。
ただ、あの2人が、同じ傷痕が、気になっただけ。

そう思い込もうとすればするほど、深みにはまる。抜け出せない。