雫とまた、離れて暮らす日がくるなんて、思ってもいなかった。

あたしにとってはぶっちゃけ、進路も推薦もどうでもいいことで、せっかく手に入れた雫との日常が何よりも大切なものだったのに。

引越し後、まだ手を付けていない段ボールの山を見て小さく息を吐く。何であたしは、雫の気持ちに甘えて1人、ここに来てしまったんだろう。

毎日メールや電話をしているといっても、それをすることでさらに、雫との距離を感じてしまう。

雫に会いたい。
触れたい。
笑顔が見たい。

離れてからまだそんなに日が経っていないってのに、もうこんなふうに思っちゃってるあたしってどうなの?

雫がせっかく、あたしのためにすすめてくれた道。こんな気持ちのままじゃ、雫に合わせる顔も無い。

情けない自分に自嘲して、あたし以外誰も居ない閑散とした部屋から外へ出た。

今日の天気は快晴。照り付ける朝日に、思わず目を細める。そして、あたしにとって新しい生活の場となる学校へと歩みを進めた。