「何を…?」

「はい。……雫先輩の支えになるのは旭先輩じゃなきゃ、本当にダメですか?って、オレが聞いた時のことです。」

「……うん。」


わりとしっかり覚えてるよ、その日のことは。
だってその日は自分の気持ちに気づいて逆にわからなくなった日。
そして、あーちゃんを傷付けてしまった日―――…


「なら、もう一回聞きますね。」


からん、いつの間にか大谷くんに運ばれてきていたグラスの氷が、涼しげな音を奏でる。目線を伏せて黙って耳を傾けていれば、大谷くんが続けた。


「雫先輩の傍にいるの、オレじゃ、ダメですか?」