あたし達が4歳のとき、両親が離婚した。
あたしは母親に引き取られ、かけがえのない双子の片割れと離れざるを得なくなった。


“あーちゃんと、いっしょにいたい。”


離れて暮らすようになってしばらくは、その最後の雫の声が頭から離れなかった。

けれどほどなくして、あたしはひとりぼっちと化した。若い男のところへ通い、夜が明ける頃にようやく帰宅する母。

そんなに男が恋しいのなら、お父さんと別れなければ良かったのに、と、幼心にも思っていたのを覚えてる。

でも別に、あたしはそれでもよかった。家にはいないけれど、お金だけは余るほど置いていってくれたし、比較的近くに住んでいるため、毎日のように雫に会えたから。

雫さえいれば、他はどうでもいい。他人なんて、誰も信じられない。あたしには、雫がいればいい。

ただ、そう思ってた。