「ごめんね、あーちゃん。私が悪かったの。だからそんなこと、言わないで。今までみたいに、私の傍に居て……!」


“あーちゃん”か。
久しぶりに呼ばれた昔の呼び名に、チクリと胸が痛んだ。

結城にああ言われたからって、椎名にほだされたからって、雫にメールを送った訳ではない。とは思いたいのだけど、確かに、そうなのかもしれない。

このまま雫と、ぎこちない関係のままは嫌だった。だからこそ呼び出したのに、今、目の前にいる雫は傷だらけ。

十年前、父親に殴られていた彼女が、今の彼女と重なった。

けれど雫は、自分が原因を作ったからって、あたしには何にも相談ナシ。昔は何でも、あたしに相談してくれたのに。