「別れてなんか、いなかったじゃない。」

「……そう、だね。」

「さっさと別れなさいよ!」

「……ムリ、かな。」


さっきから延々と続く、この押し問答。
というより、私が一方的に責め立てられていると言った方が、正しいような気がする。

何度もどつかれた、左肩が痛い。
でも、こうやって囲まれるのはもう慣れた。
浴びせられる罵声だって暴力だって、もう、どうでもいい。

…――ああ。
思い出す、なあ。

昔、今は亡き父親に振るわれた暴力。その時もこうやって堪えることしか、私にはできなかった。

でもそんなつらくて痛い日々を耐え切れたのは、旭ちゃんがいたから。
旭ちゃんがいる、その存在が私を支えてくれたから、ずっとずっと、堪えてこられたというのに。