そしてその不安や恐怖の原因は、それだけではないんだ。

今朝会ったときから、異常に旭ちゃんに纏わり付いている椎名くん。旭ちゃんはいつもと変わらず、同じようにいなしているようだけど、別に嫌がっているようにも見えなくて。

というか、椎名くんが旭ちゃんに好意を寄せているのは明らかだった。

昼休みの、ふたりの姿が蘇る。

ロビーの窓ガラスから旭ちゃんが見えて、今なら話せると思って向かった中庭。旭ちゃんひとりだけかと思いきや、そこには椎名くんもいた。

驚いたようでもあり、悲しげに揺れた旭ちゃんの瞳。私とは話したくないとでもいうような、拒絶を感じさせる雰囲気。

それを察したのか、私に何も言うことなく旭ちゃんの手を引いた椎名くんは、今の私にとって脅威そのものだった。

怖い、こわい、コワイ。

…――旭ちゃんが、他人にとられる。