キッチンへ行き、コップに水をくみ、いっきに飲み干す。
毎朝の様に行われるこの行為。



そして再び深い溜め息を溢す。



……また最近頻繁に見るようになったあの悪夢。



俺の亡き親父は俺と同じ、特殊部隊として働いていた。



司令官として、真面目に働いていた。
回りからの信頼も熱かったし、俺自身も尊敬してた。



――なのに。
親父はあっという間にあの世に行っちまった。



任務中に犯人に撃たれそうになった仲間を助けて……撃たれた。



ほぼ即死だったと聞かされた。



親父に放たれた銃弾は2発。



心臓と頭に大命中したらしい。



親父が死んだ後、母さんは極度のショックで持病の心臓病を拗らせ、親父を追うように亡くなった。


そして……兄弟はいない一人っ子の俺は、家族も何もかも失い、独りになった。



ついさっきまで幸せだったハズなのに。



笑顔が絶えない、幸せな家庭だったハズなのに。



俺の幸せは一瞬にして奪われた。