土方は集められた男達を、一度ぐるりと見回した。


全員が一つの可能性に気づいているらしく、皆真剣に土方を見返している。



「全てを信じたわけじゃねぇが、一昨日俺は坂本龍馬と話をした。 矢央についてな…」

「坂本龍馬とかよっ!?」

「やっぱり、矢央ちゃんのことが関わってるんだねっ?」


身を乗り出した原田と藤堂、この二人を押さえるのは、やはり三馬鹿の年長者である永倉の役目。


「坂本か。 土方さん、続きを話してくれ」


矢央が脱走した時、坂本龍馬と繋がってると知っていた永倉はあまり驚きはしなかった。

それは沖田も同じで、静かに語りだした土方から視線を外し床に目を落とす。


真夏だというのに、身体を冷やすわけにはいかない沖田は羽織を羽織り、一人少し離れた場所で壁に身を寄せて話を聞いた。


「坂本が言うには、矢央は長州に狙われている。 以前、矢央と長州が関わっていたのは確かだが、どうやらそれが理由で捕らえようという目的ではないようだ」


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