「早朝デートから戻るころだと思って」 からかうような口調ではないのに、広香は、まごついてしまう。 母が話したのだろう。 「一緒にモーニング食べに行かない? 聞いてほしい話があってさ」 広香は、冷水をかけられたみたいに、心臓が冷たくなるのを感じた。 何の話? 緊張する広香に気付き、健人は強い眼差しで言った。 「心配しないで。そんな怖い話じゃないよ」