広香は鷹の台高校の特別進学コースに合格した。 死に物狂いの努力をして何かを掴んだ、それが初めての経験だった。 矢楚のために修学旅行を棒に振り、それゆえ母に恋愛のことに口を出された広香は、 その日から、母に反発を抱いた。 もともと自身の胸にあった、いつか矢楚を失うかもしれないという恐怖が、母への怒りに姿を変えた。 その怒りは、受験勉強に打ち込む大きなエネルギーになった。