桃香の手が、タッチパネルを操作する充の手を掴んだ。

「ちょっと、寄りたい場所があるの」

「寄りたい場所?」

「うん」

 桃香は表情を曇らせ、しかし口だけは笑っている。

「いいよ。どこ?」

 桃香は何も言わず、ピッピと音を鳴らしてナビをセットした。

「ここ」

 充は大人しくナビの案内に従うことにして、車を発車させた。

 ホテルの駐車場を出ると、窓際の右腕が日に当たってジリジリと刺激される。

 前日は日焼け止めを塗っていたはずなのに、少しだけ焼けてしまっていた。






第二章