充がふと意識を取り戻すと、部屋の明かりがついていた。 視界に広がるベッドの上に、桃香はいない。 シワになったシーツを撫でてみても、温もりさえ残っていなかった。 充が再びまぶたを閉じ、夢の世界に戻ろうとしたとき、けたたましいアラーム音にそれを阻まれる。 腕を伸ばして手だけで携帯を探すが、なかなか探り当てられない。 重いまぶたと体を何とか起こしてパネルの横を見てみると、そこにあるはずの携帯はなかった。 充の頭はハテナでいっぱい。 クスクスと笑い声が聞こえ始めた。 「おはよう、木下くん」