ダブルベッド


 ぷにっ。

 指先に触れる、柔らかい桃香の頬。

 充はそのまま1センチほど指を滑らせた。

 滑らかな肌の感触。

 それでも桃香が起きる気配がない。

 今なら……。

 充は吸い寄せられるように、自らの顔を桃香に近づける。

 が、思い止まりその場に座り込む。

「ったくさぁ……」

 2分ほど寝顔を見て立ち上がり、タオルをイスにかける。

 そしてゆっくりゆっくりベッドのシーツをめくり、できる限り静かにベッドに上がった。

 パネルを操作して有線、照明を消した。

 間接照明だけがロマンティックに部屋の間取りを主張し始めた。