「できなかったら?」
上目遣いの桃香は、白々しくも問いかける。
充は軽くため息をついて、
「わかってるでしょ」
と告げ、風呂場へと向かった。
ここがどこかの下世話なホテルのように、風呂が透けたりしていなくて良かった。
脱衣所にも鍵がかかる仕組みになっている。
充はビニールに包まれたタオルを開封しながら呟く。
「えらい。俺、超えらい」
素晴らしき大人の理性。
なんて馬鹿げたフレーズが頭を過ぎったが、その素晴らしき理性もギリギリである。
温めのシャワーで汗を流し、念のために普段より丁寧に体を洗う。
「あーもう!」



