桃香は黙ったままである。 「私も」 という返事など期待はしていなかったが、せめて何か反応して欲しかった。 二人の間に再び気まずい沈黙が流れる。 近くを通りすがる来場者の会話なんかが途切れ途切れに聞こえてきた。 「イヤよ! ……じゃない」 「……だろ。明日だって……」 それが偶然にも聞き覚えのある声だったりもする。 声の主たちは二人の目の前を通過しようとしていた。 そして更にそれが……。 女連れの沢田だったりもする。 充は思わず立ち上がった。