桃香の呼び声と同時に、彼女のいい香りがした。
暑苦しいけど、もっと近づきたい。
桃香との距離、約30センチメートル。
「木下くんって、なんか不思議だよね」
「不思議? そうかな?」
「なんていうか……何考えてるかわかんない」
その言葉に充は思わず吹き出した。
「何それ。俺だって池田さんが何を考えてるかなんてわかんないよ」
こう返すと、桃香の表情が少し曇った。
「そうかもしれないね」
桃香はたまに、こんな風に表情を曇らせることがある。
一緒に帰るときなんかも、ふとした言葉で悲しげな顔になったりする。



