桃香はヴィトンのショルダーバッグからデジカメを取り出して、乗り物越しに富士山を撮影しようとしている。
そんな桃香が可愛くて、充は携帯をいじるフリをして、こっそりカメラ機能を立ち上げた。
「うん、まあまあよく撮れた」
液晶を見ながら微笑んだ桃香を、
“ピロリロリ~ン”
激写。
「あー! 不意撮りはダメ! 禁止!」
「あはは、もう遅いよ。保存したし」
愛おしい。
そんな風に思ったのは何年ぶりだろうか。
できることなら、目の前のカップルのように手を繋ぎたい。
24にもなって、手を繋ぐ勇気さえ出ないなんて。
何かきっかけを下さい、なんて神様に頼ったりするなんて。



