ダブルベッド


「はい、木下くんも塗って」

「え?」

 桃香が差し出してきたのは、日焼け止めクリームだ。

「いや、いいよ俺は」

「ダメ。真っ赤になっちゃう」

「そうかもしれないけど」

「最近じゃ男の人も使ってるよ? 塗らなきゃ、帰る頃に後悔するんだから」

 桃香はキャップを開けて、手の平にクリームを出した。

「ほら、腕。貸して?」

 彼女の大きな瞳に見つめられ、充は大人しく左腕を差し出す。

 桃香の右手が二の腕に触れると、ゾクッとした。

 何か性的な感覚だった。

 右手で二の腕を押さえられ、クリームのついている左手が肘から先を滑り出す。

 水分を含んだクリームがエアコンの風で冷やされて心地いい。