ダブルベッド


 守る、なんてクサかっただろうか。

 そんな言葉が出たことに恥ずかしさを覚えつつ、「マジデート」の心地よいドキドキ感を持て余す。

 あんなに運転にうるさかった桃香だが、充の手を軽く握り返して車窓を眺めている。

 気まずさと、心地よさ。

 妙な気分である。

 それはいい。

 ただ、せめて何かコメントしてほしかった。

 笑ってもいい。

 バカにしたっていい。

 何か反応して欲しかった。

 二人はそれ以降は無言のまま、手と手で微妙なコミュニケーションを続けた。

 さあ、目的地が見えてきた。