ダブルベッド


 そう言った彼女は耐えているような表情をしていた。

「謝らなくても……」

「車に乗るの、その事故以来なの」

「そうなの? それって、結構最近?」

 聞いてはいけなかったのかもしれない。

 桃香は声を詰まらせ

「半年くらい、かな」

 BGMよりも小さな声で呟いた。

「約束する」

 充は宣言し、彼女の手を握った。

 もちろん、前方を向いたまま。

「危ない運転はしないし、何かあってもちゃんと守るから」

 桃香の手は、やや汗ばみ、思ったよりずっと冷たかった。