これから訪れるであろう楽しい時間を思うと、充はそわそわせずにはいられない。 はやる気持ちをぐっと堪え、運転に集中しようとする。 しかし。 「ねえ、ちょっと速くない?」 「え?」 50キロ制限の国道。 空いているのをいいことに、充はおよそ65キロのスピードで走っていた。 「安全運転でね」 と何度も釘を射されていたから、それでも気をつけているつもりであった。 「だってここ、50キロの道だよ?」 「あ、ああ。ごめん」 充は少しスピードを緩める。 それでもなお、 「ねえ、やっぱり速いよ」